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まちのスポットライト(高井昭夫さん)

更新日:2022年9月1日

まちに住む人々の日常生活の姿を発信し、四街道の魅力を伝える「まち撮り四街道」。
「まちのスポットライト」では、身近な人物にスポットライトをあて、地域での活動を応援していきます。
(市政だより四街道 令和4年9月1日号)

注釈:「高」は正しくは「はしごだか」です。システムの都合上、正式な漢字で表記できない場合がございます。ご了承ください。

総合公園の植生調査の会 代表 高井昭夫さん(つくし座1丁目在住)

里山風景の残る総合公園は在来植物の宝庫です

総合公園の植生調査の会 代表 高井さん

カタクリの自生地総合公園
「総合公園の植物を調べてほしい」平成18年、市施設管理公社(現在の市地域振興財団)からの相談をきっかけに、20人ほどの市民が植生調査を実施した。高井昭夫さんはこの調査に参加した1人だ。調査終了後、調査を継続化するため、有志で「総合公園の植生調査の会」を発足した。
総合公園は現在1000株を超すカタクリの群生地として知られているが、最初は150株程度だった。
「会員で下草刈りを手伝い、生育条件の整備に15年かけた結果です。カタクリは花を咲かせるまで10年前後かかります。植物の育成は、すぐに結果が出ることではないんです」と、現在、会の代表である高井さんは話す。
「環境を整えてあげることで、土の中で眠っていた種子が芽を出します。密集したアズマネザサなどを根気よく駆除し跡地を保全すると、春にスミレなど何種類もの草花が芽吹きました」
総合公園を歩いてみると、在来種による生態系が維持されていることが分かる。絶滅危惧種の植物も多数あるそうだ。だからこそ生態系を壊してしまう特定外来種は徹底的に駆除したいと言う。

高井さんと活動する総合公園の植生調査の会のメンバー

コラボ四街道事業に採択されて
当初、手製の植生リストを限定して発行したが、市民からも欲しいという声があり、平成27年度、市のコラボ四街道事業に応募し、補助金を使ってフルカラー刷りの冊子を完成させた。また翌年には、総合公園を散策する市民のために植生マップも制作した。 コロナ禍で活動を休止していた時期もあったが、7人のメンバーは現在も月に一度集まって、植生リストを更新するために調査を続けている。
会が企画・運営する市民向けの自然観察会も今年の春から再開している。
「春の観察会には、カタクリの群生を見たい人が来てくれます。秋は親子が多いので、草笛やモミジなどの落ち葉を使った遊びもしています」

2015年にコラボ事業に採択され発行した植生リスト

花を採る人、植える人
ところが、トゲが危ない、有毒な植物だ、などの苦情があり、希少な植物の伐採を余儀なくされることもある。公園を管理する立場から考えるとやむを得ないが、高井さんやメンバーにとって貴重な植生が失われるのは辛いものがある。
「特に樹木は悩みます。市内でも、保存樹の枝が邪魔だと言われ、枝打ちをした結果、木が弱って枯れてしまったことがあったそうです。正しい方法で作業しないと、木自体が駄目になってしまうリスクがあることを知ってもらいたい」
また花や木を採って持ち帰ったり、植えられたりすることも。
「手を加えることで、自生している在来種の生育環境が奪われてしまいます。園芸種は根こそぎ駆逐するのが難しい場合もあり、環境の復旧に何年もかかります。勝手な採取や植栽は控えてほしいです」

植生リストに未掲載の植物を発見した高井さん

里山は人の隣に
市内の森林にはコナラ、クヌギ、イヌシゲ、ヤマザクラといった落葉樹林が多い。昭和30年代に林業が衰退すると、25年前後のサイクルで伐採されていた里山の樹木は樹高が高くなり、現在では簡単に手入れができない状態になっている。
「森林が高齢化すると竹がはびこり、他の植物を枯らします。密集した竹は地盤を弱め、地崩れを引き起こしやすくします。里山は人の手が適度に加わった自然と人との共存の姿。炭、材木をはじめ、落ち葉、山菜、キノコなど山の恵みを享受できる大切な場所なのです」
総合公園は里山の景観を残す素晴らしい公園だ。市民が憩い、子どもたちが遊べるかけがえのない環境を、高井さんたちは守っていきたいと話す。

知識よりも気持ち
退職後に、地域と関わる活動がしたくてこの活動に参加したと話す高井さん。
「私は植物についてはずぶの素人で、今でも名前の分からない草花がたくさんあります。でも、名前を知らなくても生き物の生態を知り、身近な自然を大切に思う気持ちが大切。鳥や虫は飛んで行けますが植物は動けません。だからこそ、人の力で守っていきたいですね」と高井さんは笑顔を見せた。
植生リストは本年度もコラボ四街道事業に採択された。秋にはデータを加筆した改訂版を発行し配布する予定だ。

「身近な自然を大切に思う気持ちが大切」と高井さん

お問い合わせ

みんなで課地域づくり係

電話:043-379-7553

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