更新日:2024年2月21日
まちに住む人々の日常生活の姿を発信し、四街道の魅力を伝える「まち撮り四街道」。
「まちのスポットライト」では、身近な人物にスポットライトをあて、地域での活動を応援していきます。
(市政だより四街道 令和6年3月1日号)
「もったいないをなんとかしたい」という想いを胸に
令和4年3月に設立した「よつかいどう学生服リユース」は、市内小・中学校で不用になった学生用の制服(以降学生服)、ジャージ、体操服、学用品などを回収し、新たに必要とする人に販売や譲渡することで、経済的負担の軽減につなげるなど子育て世帯を支援する活動をしています。代表の千脇みゆきさんは、日ごろから学生服や体操服、学用品など、子どもたちが卒業をしてしまうと捨てられてしまうものを「もったいない」と思い、何とかリユースできないか考えていました。
令和3年の秋ごろにSNSで学生服のリユースが行われている記事を見て、近所の人たちに聞くと、引っ越しを繰り返す世帯も多く、「子どもの学生服の買い替えは経済的に負担がかかる」「子どもが卒業した後に学生服を引き取ってくれるところがあったらうれしい」といった声があったと言います。「四街道でもできるかも?」と思った千脇さんは、令和4年2月に開催された子ども支援団体の交流会に子ども会の役員として出席した際、学生服のリユース事業を行うことについて自分の想いを話しました。ここでも多くの賛同を受け、交流会の出席者だけでなく、周りにも協力すると言ってくれる方が現れ、事業を立ち上げました。
リユース品でも納得して購入してくれる
「ある新学期の前日のこと切羽詰まった様子で、『明日から学校なのですが制服がまだありません』と外国籍の家族が来店しました。当時はまだ品数も少なく、ギリギリのサイズを購入していきました。約1年後、サイズアウト((注釈)1)により再び店を訪れ、帰り際に『今まで使用していた制服は置いていきます。ぜひ次の人のために使ってください』と寄付してくださったんです。お子さんの成長した姿が拝見できたことと、お店の仕組みを外国籍の方にも理解いただいたこと、そしてその方の心遣いはとてもうれしかったです。また、お子さんがリユース品を納得して買ってくれている様子も伺えて、各家庭でも意識が変わってきていることを実感しています。以前は、学生服といえば新品で購入するのが当たり前でしたが、今ではその意識は薄れているようですね」と千脇さんは笑顔で話しました。
使い終えた学生服をごみとして捨てずに、リユース品として受け入れられることは、環境負荷を低減するなどSDGs((注釈)2)が目指す持続可能な社会実現に向けても貢献していると言えます。
(注釈)1 成長して服や靴などのサイズが合わなくなること
(注釈)2 持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)で、2015年9月の国連総会で採択され、国連加盟193カ国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた国際目標
こういうお店があってくれて良かった
「よつかいどう学生服リユース」では、毎週月曜日と木曜日に下志津新田にある実店舗を開き、学生服などの回収、販売、譲渡を行っています。
「不用になった学生服などを寄付として無償で受け入れています。集められた学制服などは、洗濯、アイロンがけ、ほつれの修復や外れたボタンの取り付けなどスタッフが丁寧に手直しをします。その手間と拠点の使用料など運営を継続するための資金として充て、できるだけ安価で販売しています。」また、くらしサポートセンター「みらい」と連携して、公的支援の必要な家庭には無償で提供する活動のほか、市内で開催される「大きなテーブル」や「ちばユニバーサル農業フェスタ」などに出店することで周知を図っています。
「店舗を構えたことで、利用してくださる皆さんから、『こういうお店があってくれて良かった』という声を多数いただいています。市内だけではなく、千葉市や佐倉市など市外からも来店されます」
現在、店舗では学生服をはじめ、体操着、ランドセル、学用品など約1,000点の在庫があります。千脇さんは、「寄付してくださる市民の皆さんには感謝しかありません。今後は接客対応をするスタッフを増やしていきたいです」と話してくれました。
市民の皆さんの協力があってこそ
学生服のリユースは、NPO法人やリユース品取扱店を通じて全国的に広がりを見せていることから、今後も利用が増えるものと思われます。
「学生服などの回収については、大型商業施設でもできるようになると利用しやすくなると思います。また、中学校だけではなく、高校の制服に対する要望も多いので、寄付していただけるよう呼び掛けています。利用者の視点で考えたとき、市内統一の制服ができると良いのかもしれませんね。この事業を続けるため次の世代の人たちにつなげられるよう、学生服などを寄付してくださる市民の皆さんの協力が欠かせません。引き続きご協力をお願いします」。
「もったないない」という想いから学生服のリユースを始めた千脇さん。「ニーズは確かにあります。ほかの自治体でも同様な活動が広がることを期待しています」。